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建築士の受験資格を通信で取得!建築士が教える最短ルートはコレ

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石橋優介(一級建築士)

石橋優介(一級建築士)

初めまして。石橋優介建築設計事務所の石橋と申します。2児の父です。 子育て世代の目線で、育児や家事の「あったらいいな!」を解決して、かゆいところに手が届く、毎日の生活が楽しくなる設計を心がけています。 詳しいプロフィールはこちら
一級建築士 石橋優介
一級建築士の石橋です。

建築士法が改正され、より多くの方が建築士試験を受けることができるようになりました。

資格の種類や業務内容などを一緒に確認し、憧れの建築士を目指しましょう!

ここでは、建築士の資格の種類や、未経験から資格を取得する最短ルートなどをご説明します。

 

建築士資格の種類

一級建築士 石橋優介
未経験から建築士の資格を取得する方法が知りたい方は、こちらへスキップしてください!

 

建築士は1級と2級と木造の3種類に分かれる

1級・2級・木造建築士は、設計できる建物用途・規模・構造が大きく異なります。

それぞれの給料は、建築士の給料事情の記事を参考にしてみてください。

現在の仕事の業務内容や将来に設計したい建築物をイメージしながら、目指すべき建築士に狙いを定めてみましょう

 

最難関の1級建築士

1級建築士は3つの建築士資格の中でも最も難しく、国家資格の中でも最難関の一つと言われています。

理由としては、設計・監理できる建築物の構造や規模に制約がなく、意匠や構造、設備のあらゆる工学的な観点からの知識が必要とされるからです。

特に、組織設計等で官庁案件の主任以上の立場に着くには基本的に1級建築士が必要とされ、社会的な信頼や責任も大きい資格です。

毎年、学科から製図までを併せた合格者は、受験者全体の10%程度と言われています

 

難易度は高い2級建築士

2級建築士は、1級建築士と比べ設計できる建物の構造や規模に制約があります

概ね3階以下の住宅規模の建物を設計・監理することができます。

難易度としては1級建築士よりも大きく易しく、受験資格と一定の学習時間が有れば資格の取得は困難では無いといえます。

しかし、製図の試験はある意味1級よりも具体的な内容が求められ、1級建築士の製図の試験とはまた別物と言われています。

 

2級建築士へのステップアップの木造建築士

木造建築士は、2階以下の小規模の木造の設計・監理ができる資格です。

多くの受験者は20代前半と若く、建築に関する学歴が無くとも7年実務に関わっていれば受験することができます

建築士としては、設計・監理できる構造や規模に大きく制限が有りますが、住宅規模を中心に業務を行うには十分な資格と言えるでしょう。

 

それぞれの建築士の業務範囲

建築士法第3条によって、各建築士でなければできない設計又は工事監理が定められています

1級・2級・木造の順に設計又は工事監理できる業務範囲が狭くなります。

 

全ての構造・規模・用途の設計・工事監理ができる1級建築士

1級建築士は、全ての建築物を設計することができます。

ココに注意

2級建築士と大きく違う業務は、3階(高さ13mかつ軒高9mより大きい規模)より大きい木造又は木造以外の構造の建物は1級建築士にしか設計・監理ができないといった点です。

しかし、逆に1級建築士であることは、取得1年目又は20年目に関わらず、全ての建物が設計できる事が前提で、世間は見てきます。

一般の方々は1級と2級の区別は出来ても、業務内容までは分かりません。

よって社会的責任が大きい立場である上に、仕事が出来て当たり前と思われてしまいます。

資格取得後も、より一層の知識や経験の積み重ねが必要と言えるでしょう。

 

用途と規模の制限はあるが3階以下の建物の設計・監理ができる2級建築士

2級建築士は、木造以外では300㎡以下、木造でも1000㎡を超える建物は平屋のみ等と業務範囲は1級建築士と比べてかなり小さくなります。

用途も不特定多数が利用する学校や病院、劇場等の特殊建築物は扱えません

就こうとしている又は就いている職種にも因りますが、一般的に住宅の設計・監理や材料、設備を扱う業務内容であれば十分と言えます。

しかし、将来的に大規模建築又は特殊建築物の設計・監理や構造設計に進みたいと思われている方は、2級建築士の資格を取得後、1級建築士の資格の取得をオススメします。

私も某1級建築士の資格学校で教えていた時は、2級建築士の受験生の方はたくさん居られました。

 

小規模の木造が専門となる木造建築士

木造建築士は、300㎡以下の2階建て以下の木造限定となり、2級建築士よりさらに限定的な業務範囲となります。

木造住宅専門の職種であれば、国家資格でもあることから社会的な信用は十分にあると言えるでしょう

 

まったくの未経験から建築士資格を取るには?

平成30年12月に「建築士法の一部を改正する法律案」が国会で可決され、1級建築士、2級建築士、木造建築士の受験資格の見直しが採択されました。

よって必要であった学歴や職歴は免許の登録要件に変わり、受験要件さえ満たすことが出来れば、いつでも受験することができるようになりました。

なので、まったくの未経験から建築士資格を得ることも難しくは無くなりました

一級建築士 石橋優介
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【方法1】建築の大学、短期大学、専門学校に通っている場合

法改正前では、指定科目の確認を行った大学、短期大学、高等専門学校、専修学校、職業能力開発大学校等(以下、学校)を卒業後、一定の実務経験が必要でしたが、改正後は、学校を卒業すれば、1級建築士・2級建築士・木造建築士の受験資格が与えられます。

ココがポイント

ここが大きなポイントで、まったくの未経験でも学校を卒業すれば、早い段階での受験・合格が可能となります。

(※但し、合格後の一定の実務経験は免許の登録要件として必要です!)

私たちの時代は、学校を卒業した後、1級であれば2年の実務経験が受験資格として必要でした。

しかし、法改正後は門戸が広がり、多くの方に可能性があるということです。

因みに1級建築士で有れば、学校で学べる学科の点数の範囲は約125点満点中30点程度と言われています。

よって資格学校や通信教育等で、より試験の問題に特化した学科や製図の学習を積み重ねる必要があります。

 

【方法2】Wスクール、又は通信で指定科目を修める事も可能

働き方やライフスタイルの変化、通信機器の発達等により、Wスクールや通信学習はもはや当たり前の世の中になってきましたね。

Wスクールでは最短4年で1級建築士を目指す課程や2年で2級建築士(木造建築士)を目指す課程があります。

(受験認定校であるかどうかを通学又は受講の際に確認しておくことが重要です!)

学校を卒業する場合と比較し、やや時間は掛かってしまいますが全くの異分野から建築士を目指すことは可能なのです。

しかし、学校を卒業する場合と比べて、純粋に学習時間が少ないことや学習以外の建築の経験(ラボでの研究等)を得る機会も少ないため、合格レベルの知識を得るためには、Wスクール又は通信教育以外での自主的な学習が必要となってくるでしょう

日ごろから建築に関する本や情報を集める習慣をつけておくことをオススメします。(特に新建築や日経アーキテクチャーの熟読をオススメします!)

 

【方法3】実務経験を積んで建築士を取得!

2級建築士と木造建築士は建築に関する7年間の実務経験により受験資格が与えられます。

(建築に関する実務経験の内容は、設計・工事監理に必要な知識・能力を得られる実務等があたります。(詳しくは建築技術教育普及センターの実務経験要件を参照してください)

これには建築史の補助として、当該実務に関するものも含まれますので、まったくの未経験でも建築士事務所やゼネコン、メーカー等で建築に関する実務経験を積み上げ、試験に臨むことは可能です。

1級建築士は、学校を卒業した者、2級建築士、建築設備士、その他国土交通大臣が特に認めるもの(外国大学を卒業した者等)と受験資格に関する要綱が2級建築士や木造建築士と比べ厳しく、実務経験のみでは受験できません。

一級建築士 石橋優介
1級建築士を目指す方は、まずは2級建築士又は木造建築士を目指して長い目でステップアップしましょう!!

私の知り合いにも建築とは全く関係ない職種から、2級建築士になった方もいます。むしろそのような方はたくさん居られると思います。

学校を卒業した方や、上記のWスクール・通信学習の方と比べ、やや遠回りになりますが、実務経験から得られることは机上の学習以上に多いはずです。

じっくり知識と経験を積み重ねて、合格を勝ち取りましょう!

 

建築士の資格を取ろう!最短ルートは?

実務経験を7年積んで建築士を取得するのが遠回りですが堅実な手法の一つだとすると、やっぱり気になるのが最短ルート!

スマホやPCを使ったオンラインや単元毎のスポットの学習もあるので、時間を有効に使いながらかつ最短で資格を取る手法をご紹介します。

一級建築士 石橋優介
勉強方法やメリット・デメリットが知りたい方はこちらをチェック

 

まず受験資格を確認!

法改正により、建築系の学校を卒業していれば受験資格を得られることになりました。これまでは、資格毎に所定の実務経験が必要でした。

受験勉強を始めてから、受験資格を満たさない...ということにならないよう、しっかりと下調べをしておきましょう。

 

いきなり1級にチャレンジする場合

上記(実務経験を積んで建築士を取得!)でも述べましたが、1級建築士を受験するためには、指定科目を修めて学校を卒業した者、2級建築士、建築設備士、その他国土交通大臣が特に認める者のいずれかである必要があります。

注意すべき点は、建築系の大学であっても学修内容や研究内容によっては受験資格がない可能性があるということです。

指定科目とは、「国土交通大臣が指定する建築に関する科目を定める告示について」にて以下に示す通りに定義されています。

一 科目の授業内容について、シラバス等により確認する。

二 指定科目の対象とするものは、授業内容が建築設計・工事監理等の建築士の業務に関する知識、能力 の養成に資するものとする。

三 建築設計製図、建築計画、建築環境工学、建築設備に関する指定科目の対象とするものは、授業内容 が建築物(住宅を含む。以下同じ。)を主たる題材としているものとする。ただし、主たる題材である かどうかの判断が困難である場合には、授業内容の概ね過半が建築物を題材としているかどうかを判 断の基準とする。

四 構造力学、建築一般構造、建築材料、建築生産、建築法規、その他に関する指定科目の対象とするも のは、授業内容が建築設計・工事監理等の建築士の業務に関する知識、能力の養成に資するものとす る。

五 建築法規に関する指定科目の対象とするものは、建築基準法及び関係法令に関する授業内容を含むも のとする。

六 広く工学全般を対象とするような基礎的科目については、指定科目の対象としないものとする。ただ し、広く工学全般を対象とするような基礎的な授業内容が部分的に含まれる場合であっても、指定科 目の内容を当該授業の最終的な到達目標としているものについては、指定科目の対象とする。

七 授業内容が特定できない科目については、指定科目の対象としないものとする。

八 建築士試験等の受験対策を内容とした科目については、指定科目の対象としないものとする。

九 内容が複数の指定科目にまたがる科目については、原則として、当該科目の主たる内容が該当する指 定科目の対象とする。

十 単位制をとっていない課程については、次の基準により授業時間を単位数に換算するものとする。

①高等学校卒業を入学要件とする学校等については、講義・演習は1単位を15単位時間として計算 し、実験・実習・実技は1単位を30単位時間として計算する。

②高等学校、専修学校の高等課程及び職業訓練校等(中学校を卒業した後、入校した者に限る。)につ いては、1単位を35単位時間として計算する。

③1単位時間については、各学校等がその学校等の設置基準に基づき定めたものとする。 ④授業時間を単位数に換算するに当たって、少数点以下は切り捨てるものとする。

十一 指定科目に該当するものであると認められた開講科目の変更、更新の審査等については、次のとおりとする。

①原則として、新規申請から 4 年ごとに、所定の更新申請により、引き続き指定科目に該当するもの であることを再確認する。

②①に該当しない年度の開講科目については、所定の変更申請又は所定の新規申請があった場合のみ 審査を行うものとする。

引用ー建築技術教育普及センターHP

現在学修している単位が、上記に該当するかの学校への確認が必要となります。

 

まずは2級建築士又は木造建築士にチャレンジする場合

2級建築士又は木造建築士を受ける場合は、上記に述べた指定科目を履修している確認が必要となります。

加えて、建築に関する学歴や資格が無い場合は、7年間の実務が必要な実務経験要件に当てはまるかの確認が必要です。

以下の3つを確認してください。

①「建築実務の経験」として認められるもの

◎設計・工事監理に必要な知識・能力を得られる実務

(1)建築物の設計(建築士法第21条に規定する設計をいう。)に関する実務

(2)建築物の工事監理に関する実務

(3)建築工事の指導監督に関する実務

(4)次に掲げる工事の施工の技術上の管理に関する実務

イ 建築一式工事(建設業法別表第一に掲げる建築一式工事をいう。)

ロ 大工工事(建設業法別表第一に掲げる大工工事をいう。)

ハ 建築設備(建築基準法第2条第三号に規定する建築設備をいう。)の設置工事

(5)建築基準法第18条の3第1項に規定する確認審査等に関する実務

(6)消防長又は消防署長が建築基準法第93条第1項の規定によって同意を求められた場合に行う審査に関する実務

(7)建築物の耐震診断(建築物の耐震改修の促進に関する法律第2条第1項に規定する耐震診断をいう。)に関する実務

(8)大学院の課程(建築に関するものに限る。)において、建築物の設計又は工事監理に係る実践的な能力を培うことを目的として建築士事務所等で行う実務実習(インターンシップ)及びインターンシップに関連して必要となる科目の単位を所定の単位数(30単位以上又は15単位以上)修得した場合に実務の経験とみなされる2年又は1年の実務。

※1 建築士等の補助として当該実務に携わるものを含む。

※2「建築実務の経験」には、単なる写図工若しくは労務者としての経験又は単なる庶務、会計その他これらに類する事務に関する経験は含まない。

 

一部が「建築実務の経験」として認められるもの

一部の期間「建築実務の経験」と認められない業務を含んでいる場合

(認められない業務の期間を除いた期間とする。)

 

③「建築実務の経験」として認められないもの

「建築実務の経験」として認められるもの以外の業務

(1)単なる建築労務者としての実務(土工、設計事務所で写図のみに従事していた場合等)

(2)昼間の学校在学期間(中退者の在学期間を含む。)

引用ー建築技術教育普及センターHP

注意すべき点は、③の(1)でCADオペ等の作図業務のみに従事していた場合には、「建築実務の経験」としては認められない可能性があるということです。

受験はしたが無効になり、時間もお金も無駄になってしまうことを避けるためにも、現在又は将来の業務が「建築実務の経験」として認められるかの点については、会社等に要確認する必要が有ります。

紙面上の虚偽の申請は絶対に避けたいところです。

 

7年の実務経験のみで受験も可能

実務経験で受験する場合の注意点は、上記に述べましたが、ここでは有効な受験対策をご紹介します。

ネットでの検索や書店をのぞいてみると、膨大な情報量の受験対策があります。

建築系の学校を卒業していない場合は、学科の時点でどこに手を出せば良いか分からなくなってしまいます

有益かつ合理的な教材は幾重にも有りますが、初期投資を押さえて基礎的な学科の力を着けるとすれば、TACをオススメします。

資格取得の近道の一番は、資格学校等への通学又は通信での学習ですが、初学のための講座としてはコストパフォーマンスが良く、実務経験を積みながら、長い目で学習していく上で最適なのではないでしょうか。

 

最短ルートはコレ!

これまでの建築士試験の要件となっていた実務経験が、免許登録要件に改正され、学校を卒業してすぐに受験ができ、合格することができるようになりました。

その後、資格毎の所定の実務経験を経て、免許取得という流れになります。

 

1級建築士を取得するためには、建築系の学校を卒業する!最短で24歳

①指定科目を履修できる大学を卒業後、受験資格を経て合格し、2年間の実務経験を経る。(3年制大学は、合格後3年間の実務経験が必要)

②指定科目を履修できる2年制の専門学校の卒業後、受験資格を得て合格し、4年間の実務経験を経る。

③工業高校等で指定科目を履修し、2級建築士に合格した後、2年間の実務経験を経て、1級建築士の受験経験を経て合格し、その後4年間の実務経験を経る。

 

2級建築士又は木造建築士を取得するためには、建築系の学校(2年制)を卒業する!最短で20歳

2級建築士又は木造建築士は1級建築士と比較して、建築系の学校を卒業していれば早い段階で資格の取得が可能です。

例として、2年制の専修学校を卒業すれば、試験時又は登録時の実務経験年数は0年となるため、最短で高校を卒業して2年後に2級建築士又は木造建築士の資格を取得できます。

一級建築士 石橋優介
しかし、上記は何れもあくまでも資格の取得だけの話であるため、必要な知識や経験は資格取得後にしっかりと実務の中で増やしていく必要がありますね!

 

建築士資格試験はどんなもの?

建築士の試験は、「学科の試験」と「設計製図の試験」に大きく分けることができます。

「設計製図の試験」は「学科の試験」に合格しなければ、受験することはできません

また、「学科の試験」は、1級建築士は「計画」「環境・設備」「法規」「構造」「施工」の5科目(2級建築士と木造建築士は「計画」「法規」「構造」「施工」の4科目)に分けられています。

「計画」は11点(20点満点中)、「環境・設備」は11点(20点満点)、「法規」は16点(30点満点)、「構造」は16点(25点満点)、「施工」は13点(25点満点)のように足切り点は各科目で設定され、どれか一つでも足切り点を割ると学科試験はクリアできません。

よって建築士試験は、一つでも苦手分野があり、点が取れないとパスできない難関な試験の一つと言えるでしょう。

では1級建築士、2級建築士、木造建築士の「学科の試験」の概要をおさらいしましょう。

 

足切り点と合格点が決まっている相対試験の「学科の試験」

「学科の試験」は相対試験であることが大きな特徴です。

例えば1級建築士試験では、年によっての合格点が125点満点中90点から100点の間と言われています。

年によって難易度が異なるため、95点を取ったからと言って合格できる試験では有りません。

ココに注意

合格点は試験元より発表されますが、受験者数や難易度によって合格点は上下します。

しかし足切り点は各科目の1/2未満であることは変わらないため、全体の上位〇%に入ることが求められます。

また、試験時間は1級建築士試験では、「計画」と「環境・設備」を併せて2時間、「法規」は1時間45分、「構造」と「施工」を併せて2時間45分とされ、とても長い試験を1日で執り行います。

一級建築士 石橋優介
よって、知識もさることながら、集中力や体力も必要となってきます。

「学科の試験」に合格すると、合格の有効期限が5年間あります。(令和2年3月1日 改正建築士法による)よってこれまで3年間とされていた有効期限が2年間延長したことでさらなる受験者数の増加、競争の激化が予想され、更なる知識等の向上が課せられます。

学科の合格率は全体の18~20%程度と試験元より発表されています。

詳細は、建築技術教育普及センターが公開している受験要綱を必ず各自で確認してください。

 

「学科の試験」よりも難易度が高い「設計製図の試験」

「設計製図の試験」は、「学科の試験」の合格者が受験することができます。

難関の「学科の試験」をクリアした猛者を更にここでふるいにかけるわけです。

ここでは、「学科の試験」の合格者の約40%、つまり全体の10%しか合格することができません。

「設計製図の試験」は、毎年課題が変わり、1課題6時間30分の非常に長い試験となります。

出題形式は、「あらかじめ講評する課題の建築物についての設計図書の作成」(建築技術教育普及センターより抜粋)とされ、手で図面を引く製図とその製図の内容を文で説明する要点の記述に分けられます。

何れも明確な採点基準は発表されていませんが、採点のポイントや採点結果の区分が合格基準(標準解答例)として、試験元より公開されています

詳細は、建築技術教育普及センターが公開している受験要綱を必ず各自で確認してください。

 

設計製図の試験の試験が難関である3つの理由

一級建築士 石橋優介
私見ですが「設計製図の試験」は、非常に難関です。

これには、3つの大きな理由が有ります。

 

①受験対策の時間が確保しにくい

1級建築士の「設計製図の試験」を例に挙げると、「学科の試験」の合格発表が9月上旬であり「設計製図の試験」はその1か月後の10月上旬~中旬に行われます。

「学科の試験」の合格発表を待ってから「設計製図の試験」の対策に取り掛かると約1か月しか学習時間が取れません

よって多くの受験生は、「学科の試験」の自己採点をし、資格学校等の合格基準点の分析に基づいて、基準点以上(足切り点になっていないことが前提として)であれば、「設計製図の試験」の対策を、「学科の試験」が終わる7月から取り組むことになります。

7月から10月までの約3か月で、発表される課題に対して学習する必要があります

 

②手での作図になれていない

「設計製図の試験」は、全て手図面です。

A2の方眼用紙に配置図兼平面図(各階平面図や梁伏図)・断面図を作図します。

昨今の私たちの実務での設計図書は、CADを使って掛かれるため、多くの受験生は手図面に全く慣れていません

作図はフリーハンドでも可とされていますが、7~8割の受験生は製図版(平行定規付)とテンプレートを用います。

試験は6時間30分と長いようで非常にタイトなスケジュールです。

その理由として、課題に対して設計をしないといけないので、建築物の構想を練る時間が必要となってきます。

これを「エスキス」と言いますが、エスキスに試験時間の1/3を費やすことになるからです。

概ねの「設計製図の試験」の6時間30分の時間配分としては、課題文の分析+エスキスに2時間30分、作図に2時間30分、要点の記述に1時間、見直しに30分と言われています。

作図は2時間30分程度しか確保できないため、作図のトレーニングが重要となってきます。

一級建築士 石橋優介
多くの受験生は、時間内に書き上げる作図のトレーニングが分からないため、通信課程の講座や通学する対策課程の講座を受講します。

ちなみに私は、初めて製図試験のための図面を引いたとき、図面のトレースだけで8時間掛かりました

それを3か月で2時間~3時間で引くことができるようになるよう、トレーニングをするわけです。

 

③設計の内容が多岐にわたる

「設計製図の試験」は、毎年課題の内容(設計の内容)が変わります。

過去問題を遡っても同じ課題はありません

その年の社会的背景等を考慮し、多種多様な建物の設計が課題として出されるわけです。

例えば、住宅設計がメインである仕事であれば、スケールが異なる大きな施設の設計に対応しなければならないですし、大きな施設設計がメインである仕事であっても、まったく設計したことがない建物を計画することになります。

普段、幼稚園を設計していて、幼稚園が課題にでるとラッキーですが、多くの受験生はそれには当てはまりませんよね。

よって、「学科の試験」が終わってから「設計製図の試験」の課題発表の間に、基本的な作図の力を着けるためのトレーニングを1か月行うわけです。

「設計製図の試験」の課題が発表された後、施設内容を分析し、設計内容についてエスキスする力をつけるトレーニングを残りの2か月で行うといった流れになります

 

通信講座を受講するのがオススメ!

上記の3つの理由により、「設計製図の試験」においては独学は時間的にもノウハウ的にも困難であり、業務として製図のノウハウをサービスしている専門の資格学校の通信又は通学の講座を受講することをオススメします。

独学で何年も仕事やプライベートの時間を削りながら受験し続けるより、専門の資格学校の通信又は通学の講座を受講し、早期に資格を取得した方が効率的と思われます。

専門の資格学校の通信又は通学の講座の案内は以下から確認してください!

TAC/ https://www.tac-school.co.jp/kouza_kenchiku.html

総合資格学院/ https://www.shikaku.co.jp/

日建学院/ https://www.ksknet.co.jp/nikken/index.aspx

一般社団法人 全日本建築士会/ https://ssl.kenchikukouza.org/index.html

スタディング/ https://studying.jp/

 

どう勉強する?メリットとデメリットについて

建築士試験はとても難関な試験であることがこれまでの説明でお分かりいただけたでしょうか?

ここでは、勉強方法とそのメリットとデメリットをご説明します。

勉強法などは勉強時間の目安・合格法の記事が参考になります。

掛かるコストや時間も大きく変わるので、ライフスタイルに合わせた学習方法を選択してください

 

【1】独学でストイックにやりきる

独学でストイックにやりきるのはおすすめですが、メリット・デメリットをしっかり確認するようにしてください。

 

独学のメリット

メリットとしては、受験費用に掛かるコストを大きく縮減できる点です。

一般に資格学校に通学した場合、「学科の試験」対策に50万円から100万円、「設計製図の試験」対策に50万円~150万円程度コストが掛かってきます(各資格学校等の講座内容や講座オプションより大きく異なる)。

一方独学は、対策に必要な資料等を購入するのみで5万~10万円程度で納まるのではないでしょうか。

試験の過去問題や合格基準点等は試験元より公開されているため、独学でも学習は可能です。

実務の経験や知識が豊富であり、作図や要点の記述も問題なくこなせるのであれば、チャレンジしてもいいかもしれません。

しかし「設計製図の試験」については、第3者の視点で作図や要点の記述をチェックしてもらうようにした方がいいでしょう。

 

独学のデメリット

デメリットとしては、プライベートと学習のオンオフが付きにくいという点です。

どうしても仕事が大変な時は学習できないですし、家に帰ったら寝てしまう又はついつい飲みに行ってしまうこともあると思います。

通学している受験生と比べると、学習時間という点においてはどうしても物理的な差が出てしまいます。

自分によっぽほど厳しくないと、学習を仕事や家庭と両立させることは難しいと考えます。

 

【2】通信講座で苦手な分野や要点を効率的に学ぶ

多くの資格学校や全日本建築士会等では、科目や科目内の単元に分かれた講座をオンラインやテキストでサービスを展開しています。(→紹介ページが有ればリンクとび)

 

通信講座で学ぶメリット

メリットとしては、苦手な内容に絞った効果的な学習ができるという点が挙げられます。

また仕事の休憩時間や移動時間などの空いた隙間時間にスポットで学習できる点も挙げられるのではないでしょうか。

現在は、タブレットやスマートフォンを用いて、場所やタイミングを選ばずどこでも学習ができます。

自分でスケジュールを調整し、効率的に学習できるのであれば、非常に有効な学習方法と言えるでしょう。

 

通信講座で学ぶデメリット

デメリットとしては、苦手では無い点が分かりにくいという点です。

自分では苦手でないと分かっていても、全受験生の中で相対的に俯瞰した場合、学力等が劣っている可能性があるからです。

また、苦手では無い点の+αの知識が付きにくく、課題への対応力の成長が臨みにくい点も挙げられます。

どうしても苦手分野から優先的に学習していくため、苦手と思っていない分野の学習が後回しになるため、その分野の周辺知識が付きにくくなります

ココがポイント

通信講座で効率的に学習される方は、資格学校等が主宰する定期的な模試を積極的に受験し、自分の学力を相対的に知ることがデメリットを補う上で必要なのではないでしょうか。

 

【3】受験のノウハウを効率的に習得できるスクールに通学

個人的には、初期投資が多くかかっても、時間を節約できるスクール通学をオススメします。

期間内に各スクール等が課す課題(合格までのレール)に乗ってしまえば、負荷は大きくても要点やノウハウが詰まっているので、回り道が無く最短で合格できると言えます。

一級建築士 石橋優介
無駄がない方法です。

 

スクールに通うメリット

メリットとしては、個人個人がスクールに管理されているため、弱点を発見しやすく、強制的に学習できる点です。

よって、なかなか仕事や家庭と学習のオンオフが付かなくても、スクールに通学してしまえば、もうやるしかなくなるため、合格に最低必要な学習時間を確保しやすいことが挙げられます。

また映像ではなく講師がライブで授業し、受験生とコミュニケーションを取りながら、個人個人の学習の進捗に合わせた指導を執り行ってくれるスクールもあります。

 

スクールに通うデメリット

デメリットとしては、コストのみです。

各スクールによって課せられる費用は異なりますが何十万単位で必要となります。

非常に高額になるため、ローンを組んで通学する受験生も多いです。

私は、大学をでて社会人になってまもなくスクールに入学したため、ローンを組みました

ライセンススクールはノウハウ産業であるため、そのノウハウを教授する費用や、年々難化する試験に対応するための研究費に莫大な時間と人件費が掛かります。

よってどうしてもライセンススクールの通学費用は高額になるわけです。

そして、受験に失敗し続けると、通学の費用もかさみ続けてしまうことが一番のデメリットなのでは無いでしょうか。

いずれの勉強方法であっても、本気で合格したいのであれば、以下のような通信講座又は受験対策講座を受講すると良いでしょう。

TAC/ https://www.tac-school.co.jp/kouza_kenchiku.html

総合資格学院/ https://www.shikaku.co.jp/

日建学院/ https://www.ksknet.co.jp/nikken/index.aspx

一般社団法人 全日本建築士会/ https://ssl.kenchikukouza.org/index.html

スタディング/ https://studying.jp/

 

まとめ

長くなりましたが、ご拝読ありがとうございます。

簡単にまとめさせていただきますと、建築士の試験は非常に難易度が高いものです。

しかしその対価としての社会的なステータスも非常に高く、クライアントの信頼を得るために必要なアイテムの一つなのではないでしょうか。

一級建築士 石橋優介
資格を取ることが全てではありません。

建築士として、建築家として、クライアントの有益になる建物を設計し、社会に貢献することが一番大切ですよね。

私見ですが、建築士の資格は若い間に取得しておくことをオススメします。

最短で効率的に取得し、資格を元に自分の業務の可能性を広けることが建築に関わる全ての仕事で社会から必要とされることなのではないでしょうか。

私は、「学科の試験」は26歳の時に一発合格しましたが、「設計製図の試験」は、一度不合格となり涙がでるくらい悔しい思いをしました。

その不合格のとても苦い経験があるからこそ、あの努力に比べたら、、、と思うことも多々あります。

非常に難関な試験ですが、乗り越えたときの達成感はとても大きいはずです。

初受験の方も、既受験の方も、また今年1年頑張りましょう!

 

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石橋優介(一級建築士)

石橋優介(一級建築士)

初めまして。石橋優介建築設計事務所の石橋と申します。2児の父です。 子育て世代の目線で、育児や家事の「あったらいいな!」を解決して、かゆいところに手が届く、毎日の生活が楽しくなる設計を心がけています。 詳しいプロフィールはこちら

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