石橋優介(一級建築士)
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近所にも必ず一つはある、かっこいい建物。
私たちの生活の中に、素敵な建築物はたくさんあります。
住宅だけではなく、ホテルや庁舎、病院など不特定多数の方が利用する大きな建築物を設計することができる一級建築士。
この記事では、勉強時間や試験概要から、一級建築士の難易度を分かりやすく説明します。
一級建築士の難易度は?他の資格と比較
国家資格であり、建築士の最上位である一級建築士は、超難関です。
その理由としては、難関である学科試験とその難関の学科試験をパスした方を更にふるいにかける製図試験の両方の合格が必要であるからです。
よく偏差値で比較しているサイトがありますが、はっきり言ってあまり参考になりません。
大学受験と違って専門性が高い技術職であり、受験回数や受験年齢も多岐にわたるからです。
学科試験合格までに1500時間必要!
一級建築士の学科をパスするためには、平均1,400~1,500時間必要です。
これは1年に1回の試験であるということ、一級建築士試験の大半が仕事を行いながら受験することを考慮すれば、非常に学習時間を確保するということが困難ということが想像できます。
例えば、8時に出勤し、21時に帰宅する勤めの設計士をモデルとしましょう。
家族がいない場合を考えると、22時から1時まで3時間の学習時間がちょっと無理をすれば確保出来そうです。
週5日同じ生活をしたとすれば、平日で週15時間確保できます。
土日の休みで合わせて15時間確保すると、1週間で凡そ30時間の学習時間を捻出することができます。
そのペースを1か月続けると30時間×4週=120時間
12か月フルに学習下としても、120時間×12か月=1,440時間となり、はじめて平均学習時間にのっかるわけです。
仕事をしながら、1日3時間、土日で10時間確保できる精神力と体力は並大抵では無いと思います。
また、一級建築士試験は5科目あり、1科目でも足切点を取ってしまうと不合格です。
よってバランスよく学習する必要があり、計画・環境設備・法規・構造・施工といったあらゆる専門知識が必要とされる1級建築士の学科合格に関しては、独学ではなかなか学習効率や学習量といった面でとても困難であるといえます。
多くの受験する方は、ライセンススクール(通信・通学)に通い、1年間のカリキュラムの中で、最低限決まった学習量を実施し、学習リズムをつくることで、仕事と勉強を両立させます。
効率的に資格取得を目指す方は、以下のような通信講座又は受験対策講座を受講すると良いでしょう。
TAC/ https://www.tac-school.co.jp/kouza_kenchiku.html
総合資格学院/ https://www.shikaku.co.jp/
日建学院/ https://www.ksknet.co.jp/nikken/index.aspx
一般社団法人 全日本建築士会/ https://ssl.kenchikukouza.org/index.html
スタディング/ https://studying.jp/
製図試験合格までに400時間必要!
そして難関の学科試験をパスすると、次は製図試験が待ち構えています。
7月の下旬に合格発表があり、課題が事前に発表されます。
10月の中旬に試験があるので、準備期間は約2.5か月です。
よって、学科試験を受けたその日から自己採点をし、合格ラインである人は、その日から対策をします。
2.5か月は本当に地獄です。
仕事をしながら、製図のトレーニングをします。
これは実務とは別物です。
ただ設計の構想を練るエスキスは、設計を業にする方は誰でも行いますが、
6時間30分で基本設計をし、手図面と手書きの要点でプレゼンできるものをつくりあげることは至難の技です。
2.5か月での学習時間は約300~400時間必要です。
これだけの時間必要になる!
1か月に200時間程度。単純に30日で割り戻しても6~7時間。
これは、とても過酷です。
学科と合わせて2000時間程度となります。
これは平均学習時間3000時間の公認会計士、5000時間の弁護士と比較すると1.5~2倍差が有りますが、足切点がある絶対試験的な観点、上位約10%(学科18~20%、製図40%)の相対試験的な観点から非常に難関な試験です。
一級建築士の難易度は高いが誰にでも取得のチャンスはある
一級建築士合格者の主な出身大学
試験元の建築技術教育普及センターが公表している「学校別合格者数一覧」では、上位は東京大学や京都大学などの一般的に超難関大学といわれる大学が占めているわけではなく、教育プログラムに試験対策の要素を含むような大学が上位を占めているという相関があります。
詳細は試験元のHPを確認していただきたいのですが、1位は日本大学、2位は芝浦工業大学、3位は東京理科大学となっています。
実際に実務をしている建築家としての立場、資格学校で講師をしている立場からすると、あまり出身大学は関係ないように思えます。
誰でも仕事を一生懸命したら息抜きはしたいですし、休みたいと思います。
資格なんか無くても、士事務所に属していれば設計の仕事はできます。
そして仕事ができる方はたくさんいます。
それはそれでいいと思います。
一級建築士の資格を取得する意味は、自分のプライドとクライアントへの信頼の為に尽きると考えます。
法改正により受験資格のハードルが下がっている
平成30年12月に「建築士法の一部を改正する法律案」が国会で可決され、1級建築士、2級建築士、木造建築士の受験資格の見直しが採択されました。
よって必要であった学歴や職歴は免許の登録要件に変わり、受験要件さえ満たすことが出来れば、いつでも受験することができるようになりました。
なので、まったくの未経験から建築士資格を得ることも難しくは無くなりました。
最短ルートが知りたいという方は、資格取得の最短ルートの記事へスキップしてください!
試験合格のためには勉強時間の確保が必須
建築士の中でも特に一級建築士は、学習範囲(科目)が多岐にわたり過ぎているため、1年で資格を取得しようとすると、物理的な学習量と試験の要点を押さえた効率的な学習方法(テクニック)が必要となってきます。
【学習方法1】毎日3時間、月120時間を目安に
資格学校で講師業を行っていますので、具体的なノウハウは書けませんが、物理的な学習量としては、毎日3時間。
これは資格学校に通っている状況でということです。
5科目あるのでバランスよく、1日1科目、1週間で5科目でもいいですし、1日5科目でもいいと思います。
個人的には、ある程度のまとまった学習時間が必要と思いますので、1日1~2科目をオススメします。
【学習方法2】広く・浅くの学習スタイルで学科の5教科をまんべんなく網羅
私は、学科Ⅰの計画と学科Ⅱの環境を平生教えていますが、一番怖いのが足切りです。
いくら他の3科目でいい点をとっても、計画で足切り、環境で足切りとなってしまっては1年間の学習の意味がなくなってしまいます。
よって、得意科目をつくる学習ではなく、苦手科目をつくらない学習の意識がよいと考えます。
広く浅く知ることが大切!
張り切って1科目を集中的にして、きれいにノートにまとめ上げて、苦手分を補う勉強ではなく、広く浅く知ることが大切です。
建築士であるのだから、全ての分野に精通していることは必須です。
しかしこれはあくまでも資格試験。
資格をとってからの勉強時間の方がはるかに長いです。
試されている事を乗り越えることが資格試験なので、割り切って学習しましょう。
【学習方法3】仕事をしながらの勉強方法
仕事をして帰ったらヘトヘトです。
分かります。
クライアントや上司、部下への対応や時間と手間暇を掛けた設計、監理、営業をしていて、体力的にも精神的にも余裕なんてないですよね。
帰ったら明日の仕事の為に、リフレッシュしたい。
それはとても大切です。
でも1年間、長い人生の中で1年間、仕事以外のプライベートは犠牲にして「やってやる」という覚悟が勉強に取り組む前に必要です。
ちょっとぐらいいいだろ、ちょっと勉強しなくても大丈夫、この甘い考えをしていると、不合格になります。
また、来年、その次も同じことを必ず繰り返します。
私が一発合格したオススメの勉強法5つ!
【勉強法1】受講生が比較的多い資格学校に通う
お金は掛かりますが、これが一番近道だと思います。
出題傾向・分野の要点を押さえたテキスト、課題があり、最低限の学習量を提供してくれます。
仕事が忙しい人程、資格学校に通い、一定の負荷を与えてもらう方がいいと思います。
与えられたらこなすだけですから。
自分で難しく勉強方法を考える必要がなく、定期的な試験や宿題の解答傾向から苦手分野をリストアップしてくれて、対策まで検討してもらえるのです。
ただし、費用もそれなりに掛かります。
しかし、費用対効果と来年また学科を勉強しなくてはならない可能性を考慮すると一番合格の可能性が高く効率的だと経験上思います。
また、受講生が多い学校を選択することで勉強しないといけない感を感じることができ、緊張感と競争心が芽生え、学習意欲を向上することができます。
以下の通学・通信スクールを参考にしてください。
TAC/ https://www.tac-school.co.jp/kouza_kenchiku.html
総合資格学院/ https://www.shikaku.co.jp/
日建学院/ https://www.ksknet.co.jp/nikken/index.aspx
一般社団法人 全日本建築士会/ https://ssl.kenchikukouza.org/index.html
スタディング/ https://studying.jp/
【勉強法2】資格を取ることが仕事だと1年間割り切る
仕事は責任をもって行わないと、社会的信用も報酬も失います。
しかし、資格の勉強は合格しなくても社会的信用も報酬もその場では失うことはありません。
将来的に資格があるとないとでは、社会的地位・収入は異なるとは思います。
資格を取ることが、今の仕事のスキルアップになると考えてみてはいかがでしょうか。
建築士の給料については、建築士の給料事情の記事が役に立つと思います。
組織設計事務所・ゼネコンに属していれば、官庁案件の主任技術者にもなれ、責任ある仕事を執り行うことができ、コンペ・プロポーザル時の体制にも名を連ねることができます。
また、将来管理建築士講習を受ければ、独立だってできます。
どこの士事務所やゼネコン、官庁に属していても、資格があればクライアントからの信頼度も異なります。
殆どのクライアントは、建築士の資格事情なんてご存じありません。
命を預ける建物を設計・監理するので、資格は持っている(相当の経験を有している)ことは必須なのです。
1年間は残業を減らす
1年間、残業時間を少しぐらい減らして現在の業務に支障がでても、将来貢献できる立場になるのであれば、それはそれでいいのでは無いでしょうか?
ただし、上長や同僚には、「今年受験し、今年取得する」という強い思いを告げておく方がお互いにとってよい業務環境を築けると思います。
何年も受けては落ちて、あきらめるとだらしない印象がついてしまいます。
【勉強法3】隙間時間こそ勉強
私は当時ある資格学校に通っていましたが、その学校のテキストを常に持ち歩き、昼・夜の食事の時間、車での移動時間、トイレ、お風呂の全ての時間で、テキストを読み、問題を解いていました。
当然友人との飲みの時間やゲーム、マンガ、テレビ等の一切の遊びを断ち、10分の時間があれば学校の宿題と予習、間違えた問題の復習を徹底的にしました。
初めから1年間の間だけと割り切っていたので、誘惑に負けず勉強ばかりしました。
食事の時間も勉強はしました。
当時は独身だったため可能でした。
食事はいろいろなものを食べ、食べている間に勉強することで、味と記憶を結びつけました(行儀悪いですが)
【勉強法4】睡眠時間は最低5~6時間確保!
(もちろん徹夜学習もしていません)
1年間の長い戦いと分かっていたので、無理だけはしませんでした。
26歳の時に学科は受かりましたが、当時はまだまだ丁稚で覚えなければならない仕事や作業がたくさんありました。
よって必死で仕事をしていました。
なので適切な休息をとる必要がありましたので、毎日遅くても1時には寝て、7時には起きるようにしていました。
特別な朝勉強はしていませんでしたが、仕事終わりの2~3時間と徹底した隙間学習だけは継続しました。
【勉強法5】図解する
言葉や道理を覚えた気になるので、マーキングの類はしませんでした。
赤と青ペンとシャープペンシルのみを使い、覚えるべきことをテキストを見ながら、自分の言葉でノートにメモしました。
ノートのきれいさには拘らず、要点と図をたくさん書きました。
当時、無印で6分割ノートというものが発売されていて(今もあるかは分かり兼ねます)、
1ページに6つの枠があり、その1枠に1つ絵や要点を書いて記憶を定着していきました。
昔はスマホやタブレット等がそこまで普及していなくて、かなりアナログな手法でした。
上記の5つはメンタル的なところが大きいですが、嘘だと思ってやってみてくだださい。
合格の近道ポイント
合格への近道はプロに任せる、自分はそれにのっかる精神力を鍛える、というのが一番近道だと結論づけます。
あくまでも個人的な見解です。独学で合格されている方もたくさん居られます。
一級建築士合格までの勉強方法
独学・通信講座・資格学校の3つの方法
一級建築士合格までの勉強方法は、大きく独学・通信講座・資格学校への通学の3つに分けることができます。
現役資格学校講師が教える勉強方法
マラソンのような長い戦いの学科試験対策
学科試験は毎年7月の4週目の日曜日に開催されます。
前にも述べましたが、合格まで学科は約1500 時間必要です。
特に建築の大学や専門学校を卒業したばかりの「初受験」の受験生の方はプラス1割程度の時間が必要かもしれません。
「初受験」の方は、資格学校への通学をオススメします。
理由としては、何から手を付けていいか分からない状態だからです。
一級建築士資格を持っている人でも、もう一度受けたら落ちるくらいの難易度です。
知識と問題を解くスピードを身に着けないといけないので、お金は掛かりますが資格学校の教材とスケジュールに身を任せるのが一番とも思えます。
「既受験」の方は、資格学校へ通学するか、過去問題を10年分みっちり解き、基礎学力を伸ばす事が必要です。
この試験に本気で一年トライすると、ある程度の基礎学力がついてきます。
本試験の自己採点が90点~85点(125点満点中)だった方は、過去問題からの独学や部分的な講座を資格学校で受講するもの手かもしれません。
しかし、本試験で70点以下(6割以下)だった方は、あまり学力がついていないと言えます。
もう一年通学するか、昨年度以上に勉強する必要があります。
ココに注意
70点以下だった方は要注意で、勉強の量や方法を間違うとまた今年も不合格の可能性がありあります。
勉強の量だけで言えば、通学している受験生にはかないません。
相対試験の中で勝ち抜くには、通学している受験生より学習しなければなりません。
正答率6割の方は、あと2割成績を向上させることができれば合格ラインですが、これが難しい。
自分の学習量が足りないことと学力が追いついていないことを自覚して、独学か通学(又は部分的な通学)を選ぶ必要があります。
オススメするライセンススクール
TAC/ https://www.tac-school.co.jp/kouza_kenchiku.html
総合資格学院/ https://www.shikaku.co.jp/
日建学院/ https://www.ksknet.co.jp/nikken/index.aspx
一般社団法人 全日本建築士会/ https://ssl.kenchikukouza.org/index.html
スタディング/ https://studying.jp/
短距離走のような短期決戦の製図試験対策
【対策1】「初受験」の方は迷わず通学をオススメします
学科試験が終わってから製図試験までは約2.5か月しかなく、6時間30分で作図と要点の記述の対策を練ることは、資格学校のノウハウなしには難しいと考えます。
一番は、エスキスができないということです。
設計に携わっているならば、基本検討や基本設計のエスキスはできると思いますが、設計製図の課題は少し別物です。
未完成はもちろん不合格ですが、単体規定/集団規定違反、空間構成の大きなミス、その他重大な欠落等をエスキスの中でチェックしながら進めるトレーニングをしないと、いくら美しく図面を仕上げても不合格になってしまうからです。
実務では、会社でのDRや上司の図面チェック等があり、大きな違反や不整合を未然に防ぐことができますが、試験では1人で基本設計を終える必要があります。
総合力の試験になる!
意匠だけではなく、構造や電気、機械の知識も必要となってくるため、設計士としての総合力が試される非常に難関な試験といえます。
「初受験」の大半は20台です。
多くの設計者の方が未だ社会で建築士としての知識や経験を得始めた時点です。
よって、意匠・構造・電気・機械図を総合的に設計することに慣れていません。
これは、過去問題の演習や知人に教えてもらいながらの練習ではどうしても、スピードと質が身に付きにくいです。
資格学校に通学すると、そのエスキスはシステマチックなものとなり、手順や考え方を難易度を上げながら何度もトレーニングします。
また、製図の講師からの客観的な指摘を得ることができ、短期間でノウハウを得ることができます。
【対策2】独学や通信講座
ランク2~3で不合格になった「既受験」の方は(通学歴のある方)、40枚の作図が試験までにできる方は、独学や通信講座(又は部分的な通学)でもいいかもしれません。
通学歴のある「既受験」の方はある程度、エスキスや作図の方法が分かっているので、課題によっては比較的費用が掛からない独学又は通信講座でもいいかもしれません。
しかし、自分がなぜランク2かランク3になったかの分析した上で、独学や通信講座を決断してください。
令和元年のランク2は全体の3.0%という情報が試験元から公表されています。
これは、ランク3(足切り)やランク4(一発不合格)が多くなり、試験がより厳しく採点されていることを意味します。
特にランク3、ランク4の既受験の方は、図面の自己分析が必要です。
エスキスの手法や作図に不安がある方は、資格学校への通学が、やはり合格への近道になると考えます。
【対策3】ランク4の方は、通学をオススメします。
ランク4の方は、過度の減点による失格と単体規定/集団規定違反による1発不合格が予想されます。
こちらに該当する方は、知識不足、スピード不足、チェック不足、総合力不足が懸念されます。
恐らくもう一年通学した方が、来年も同じ間違いを繰り返さないと思います。
しかし、簡単なミス、問題の読み違い等でランク4になってしまった可能性がある方は、独学に切り替えてもいいかもしれません。
受かった年の具体的な勉強方法
学科に関しては、仕事をしながらの勉強方法で前述しましたので、製図試験の具体的な勉強方法について記載します。
2が月半、学校に通学しながら45枚の作図をしました。
(1年目の初めての作図は8時間くらい掛かった記憶があります。)
仕事をしながら、1週間で6~7枚作図しました。
これはかなりの量です(既受験の方は分かると思います。)
時間とお金をかけて不合格だったので、とても悔しくてやれることはやろうと思い、がむしゃらに作図しました。
平日は夜仕事から帰って、2時間エスキスをする。
翌日作図をするを繰り返し、月~金までの平日に3枚、土日に通しでエスキス+製図をして3枚作図しました。
自宅では、テレビは線から抜いて、携帯電話も自宅に帰るとOFFにして、食事と風呂と就寝時間以外は製図をしていました。
おかげで作図スピードは1時間短縮でき、2時間で作図できるようになっていました。
一番やって良かったなと思うことは、合格年の課題の実例を実際に見たり、作品を新建築や、日本建築学会の作品選集、日経アーキテクチャー等やWEBで探したりしました。
見たことがない、設計の経験が無いものはなかなかリアルな形で設計ができませんよね?
課題発表がされてから、少なくとも2件程度は実例を見ることをオススメします。
もしエスキスで迷ったり、分からなくなったらその行ったことがある実例をイメージして、設計に生かせばいいのです。
※試験元の設計製図の評価は、ランク1が合格で、ランク2、3、4は不合格です。
ランクⅠ:「知識及び技能」を有するもの
ランクⅡ:「知識及び技能」が不足しているもの
ランクⅢ:「知識及び技能」が著しく不足しているもの
ランクⅣ:設計条件及び要求図書に対する重大な不適合に該当するもの
(引用元:http://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-2019-2nd-gokakukijun.pdf)
上記の4段階で、合格発表されます。
仕事と勉強を両立させる方法
【方法1】家族の理解を得る
時間の使い方がポイント
学科で1500時間、製図で400時間の学習時間を捻出するためには、仕事していない時間の使い方が合否を分ける大きなポイントとなってきます。
独り暮らしの方は自分の意志や計画により、時間を捻出できますが、家庭を持たれている方又はご家族と一緒に暮らしている方は、生活リズムがガラッと変わります。
特に、製図試験の学習はエスキスで2.5時間、作図で2.5時間、要点の記述で1時間、チェックに0.5時間のまとまった時間が必要です。
(学習の後半になると分けて学習することもできます)
6.5時間集中するためには、一緒に住んでいる人の理解・協力が必要です。
家事や子どもとのふれあい、家族行事等たくさんの時間を少し犠牲にする必要がでてきます。
1年間だけ、と割り切って、将来の仕事の為に、ご家族又は同居の方に集中する時間を確保させてもらうことは本当に必要となってきます。
今考えると、本当に申し訳ないなと思います。
そして、私は今現在2児の父ですが、子育てをしながら、子どもにご飯を食べさせてお風呂に入らせて、遊んで、の生活の中で製図受験をもししていたら、、と考えると合格していなかったかもしれません。
【方法2】会社の上司、同僚の理解を得る
学習時間を確保するという観点では、特に上司への報告は必要であると考えます。
仕事量はセーブするべきです。
これは、上司の理解と会社の配慮が必要となってきます。
しかし、社会人である以上、報酬を頂いている以上勝手なことは言いすぎることはできません。
「今年1年で取り切ります」という本気の姿勢・意志を普段から見せ、いつも通りの仕事をしていれば、直前の業務の軽減や有休消化の許可など受験直前に学習時間やメンタルを整える時間を頂ける可能性が有ります。
私も多くの受講生を見ていますが、試験前に業務が軽減されたり有休を取得できる方は最後の最後まで納得いく学習ができ、+1点に繋がる可能性が高いとも言えます。
【方法3】最後は「覚悟」に尽きる
一級建築士になりたいという思いが強い方が勝つ試験です。
人より+1点多く取るために、努力した方が合格すると思います。
学科であれば、テキストに書いてある周辺事項をもうひと頑張り学習してみる、
製図であれば、早く作図を終わらせて、書き込みやチェックを充実させる等
人よりできることを多くした人が合格します。
一級建築士にならなくても、仕事の内容は変わらないかもしれませんが
将来的に転職や独立の選択肢も増えますし、
会社によっては資格手当が増えることもあります。
何よりクライアントの信頼を得ることができることが一番大きいですよね。
1年間覚悟をして、失うものも多いかもしれませんが将来得るものの方が絶対多いと思います。
まとめ
一級建築士資格取得は、時間もお金も費やし、体力的にも精神的にも疲弊する非常に困難な試験です。
しかし、合格した時の喜びは非常に大きいものと言えます。
私自身、約10年前の26歳の時は、一生で一番勉強しました。
私は一級建築士を取得し、個人設計事務所から組織設計事務所を経て、個人設計事務所として独立しました。
住宅以外の大きな施設の計画にも携わることが出来ました。
設計することができる建物の可能性が広がるということは、設計者としては重要なことです。
1年間の長い戦いになりますが、ぜひぜひトライしてみてください。
石橋優介(一級建築士)
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